FEATURED
廃食油が、まちを支えるエネルギーになる。
熊本発の高純度バイオディーゼル燃料「ReESEL」
使い終えた天ぷら油が、上質な燃料に生まれ変わり、地域や被災地で役立つ――。熊本で広がるその循環の中心にあるのが、高純度バイオディーゼル燃料「ReESEL(リーゼル)」です。廃棄物を資源に変え、カーボンニュートラルを目指すこの取り組みを、MUSUBIME PLUS が地域の事例として紹介します。
ReESEL(リーゼル)とは
ReESEL(リーゼル)は、家庭や店から出る使用済みの食用油(廃食油)を原料に、独自の製法で精製した高純度のバイオディーゼル燃料です。バイオディーゼル燃料の一種ですが、品質を高めることで、従来のバイオディーゼル燃料が抱えていた課題を解消している点が特長です。一般的なバイオディーゼル燃料は品質にばらつきがあり安定した保証が難しいこともありますが、ReESELは品質規格をクリアし、安心して使える品質まで高められています。燃料に必要な成分メチルエステルの含有率は 99.8% で、バイオディーゼル燃料の品質規格である JIS-K2390 の 26 項目をすべてクリアしています。市販のディーゼル車や重機を改造することなくそのまま使うことができ、植物由来のため、燃やしても大気中の CO2 を実質的に増やさない「ゼロカウント」として扱われます。カーボンニュートラルな社会を目指す燃料として注目され、2026 年には国土交通省の NETIS(新技術情報提供システム)にも登録されました。この ReESEL を製造・販売しているのが、熊本市の会社「未来樹」です。地域で集めた廃食油を ReESEL に精製して活用するこの資源の循環は、熊本から始まり、いま全国へと広がりつつあります。
2つの燃料について
精製した燃料は、品質をどこまで高めるかによって2種類に分かれます。出発点も作り方も同じ、いわば兄弟のような関係です。


バイオディーゼル燃料とは?
廃食油などの植物油から作られる、軽油の代わりに使えるエコな燃料です。トラックや重機、発電機などで軽油の代替として利用でき、植物由来のため燃やしても大気中のCO2を実質的に増やさない、地球にやさしい燃料です。原料や製法によって品質に幅が出ることがあります。
リーゼル(ReESEL)とは?
バイオディーゼル燃料の品質を、独自の製法で極限まで高めた最高グレードの燃料です。メチルエステル含有率は99.8%、品質規格JIS-K2390の26項目をすべてクリア。市販のディーゼル車や重機を改造せずそのまま使え、黒煙や硫黄酸化物もほとんど出ません。2026年には国土交通省のNETISにも登録された、安心して使える燃料です。被災地支援にも活用された実績があります。
だから、熊本ではこの最高品質の「リーゼル」を使っています。
THE CYCLE
循環の 8 ステップ

※イメージ図
家庭や飲食店・給食施設などで使い終わった食用油を、地域の回収拠点に持ち寄ります。捨てられていた資源が、循環の出発点になります。
地域の協力者や事業者が拠点を巡り、集まった廃食油を安全に収集・運搬します。地元のネットワークが物流を支えます。
集めた廃食油をメタノールと反応させ、高純度バイオディーゼル燃料 ReESEL として精製します。不純物を除いた高品質な燃料が地域で生まれます。
精製された ReESEL は、軽油の代替燃料として車両や機器の動力源に活用されます。地域で作った燃料が、地域の中で使われます。
ReESEL は燃焼時に排出する CO2 が、原料である植物が成長時に吸収した CO2 と相殺されると考えられています。化石燃料に比べ、温室効果ガスの排出を抑える効果が期待できます。
廃食油の適正処理により、河川や土壌への汚染リスクが減ります。また地域内で燃料を調達・消費する仕組みが、地元の経済循環と雇用につながります。
ReESEL を利用した活動を通じて循環の意義が広まり、次の廃食油回収への参加者が増えていきます。循環が循環を呼ぶ仕組みです。
この小さな循環を地域全体に広げ、次世代が当たり前のように参加できる仕組みへと育てていきます。カーボンニュートラルを目指す循環として、地域から未来につなぎます。
循環をつなぐ担い手(コネクター)
この循環は、一事業者だけでは成立しません。地域の企業・事業所・教育施設・保育園・幼稚園など、さまざまな主体が「中間コネクター」として回収・輸送・利用・啓発の各ステップに関わることで、循環が地域全体に広がります。
回収協力者
廃食油の回収拠点を提供・運搬を担う事業者や施設。地域の物流の要です。
製造・精製
廃食油を ReESEL へ精製する技術を持つ事業者。循環の中核を担います。
利用・啓発
ReESEL を活用しながら子どもや地域住民に循環の意義を伝える企業・教育施設。
FOR EVERYONE
4 コマでわかる ReESEL の循環
子どもにもわかるように、日本語・英語・繁体字でまとめました
地域での実例
熊本市南区の恵水幼稚園では、園児と地域の人たちが約 2 週間かけて家庭の使用済み食用油を約 450 リットル集めました。この廃食油は高純度バイオディーゼル燃料 ReESEL に精製され、熊本市の会社「未来樹」が開発した移動式充電機の燃料として活用されました。品質が高く安定していたからこそ、被災地へ届ける支援につなげることができました。
2024 年 1 月 4 日、この移動式充電機は能登半島地震の被災地である石川県珠洲市へ無償で貸し出されました。珠洲市役所で電気自動車の充電などに使われ、被災地の生活インフラを支える一助となりました。450 リットルの廃食油から精製した ReESEL で充電機は約 48 時間稼働でき、電気自動車約 100 台分の充電が可能です。
恵水幼稚園
回収協力者
使い終わった食用油を地域で回収
燃料加工会社
製造・精製
回収した油を ReESEL へ精製
未来樹
利用・啓発
移動式充電機で活用
能登・珠洲市
被災地での活用
被災地で EV の充電に活躍
恵水幼稚園
回収協力者
使い終わった食用油を地域で回収
燃料加工会社
製造・精製
回収した油を ReESEL へ精製
未来樹
利用・啓発
移動式充電機で活用
能登・珠洲市
被災地での活用
被災地で EV の充電に活躍
この取組で生まれた実績
約 450L
収集した廃食油
約 48 時間
充電機の稼働時間
約 100 台
電気自動車の充電可能台数
出典:日本テレビ系 KKT(熊本県民テレビ)ニュース報道(2024 年 1 月 25 日)に基づきます。
記事を見る →この循環に関わった団体
この循環は、複数の団体・企業の連携によって実現しました。それぞれの役割と取り組みをご紹介します。
わたしたちが取り組めること
この循環は、地域に住む一人ひとりの参加で広がっていきます。家庭・企業・学校など、それぞれの立場でできることがあります。
家庭
家庭でできること
使い終わった食用油を排水溝に流さず、固めて捨てない。地域の回収拠点に持ち込み、分別に協力しましょう。
企業・事業所
企業・事業所でできること
廃食油の回収拠点になる。運搬や精製に協力する。社用車や機器で ReESEL を使う。社員や顧客へ循環を発信しましょう。
地域・学校
地域・学校でできること
回収イベントや環境学習を開く。子どもたちに循環の意義を伝える。参加者の輪を広げましょう。
この循環は、こんな取組から広がります
廃棄物を資源に変える
捨てられるはずだった廃食油が、地域の燃料として生まれ変わります。
地域内で燃料を調達し消費する
地域で作った ReESEL を地域で使う。地産地消のエネルギー循環です。
次世代へつなぐ
カーボンニュートラルを目指す循環を、次の世代へ引き継ぎます。




